大井 剛史(おおい たけし/Takeshi Ooi)

 1974年東京都生まれ、栃木県育ち。17歳より指揮法を松尾葉子氏に師事。

 東京芸術大学音楽学部指揮科を卒業後、1999年同大学大学院音楽研究科指揮専攻修了。学内にて若杉弘、岩城宏之の各氏に指導を受ける。1996年安宅賞受賞。1997年には、同大学の各科成績最優秀者6名による「新卒業生紹介演奏会」に出演した。その後、ヴェルビエ音楽祭(スイス)にてジェイムズ・レヴァイン、クルト・マズアの両氏に、シエナ・キジアーナ音楽院(イタリア)においてジャンルイジ・ジェルメッティ氏に、それぞれ指揮法を師事。

 2002年、オペラ指揮者としての本格的なデビューとなったモーツァルト劇場公演「ペレアスとメリザンド」(ドビュッシー)は、「モーストリー・クラシック」誌において「今月の一番」に選ばれ、翌年に初演した「不思議の国のアリス」(木下牧子)の公演は、三菱信託芸術文化財団音楽賞奨励賞を受賞した。その他にも、「フィガロの結婚」「コシ・ファン・トゥッテ」「愛の女庭師」(モーツァルト)、「ヘンゼルとグレーテル」(フンパーディンク)、「カルメン」(ビゼー)、「ティレージアスの乳房」(プーランク)などを指揮している。パリ・シャトレ座プロジェクト、新国立劇場、二期会、日生劇場などの公演における副指揮者・合唱指揮者としても活動してきたが、その中には「ルル(3幕版)」(ベルク)、「エジプトのヘレナ」(R.シュトラウス)、「欲望という名の電車」(プレヴィン)、「Jr.バタフライ」(三枝成彰)などの、日本初演の公演も含まれる。また、バレエ「くるみ割り人形」(チャイコフスキー)、ジャニーズの「嵐」と共演したミュージカル「ウェスト・サイド・ストーリー」(バーンスタイン)の指揮など、オペラ以外の舞台音楽にも積極的に取り組んでいる。

 オーディションによって選ばれ、2000年9月より2001年12月まで、仙台フィルハーモニー管弦楽団の副指揮者を務め、同管弦楽団の演奏会を度々指揮した。その他これまでに、東京フィルハーモニー交響楽団、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、ニューフィルハーモニーオーケストラ千葉、群馬交響楽団、山形交響楽団、東京佼成ウインドオーケストラ、ソフィア・フェスティバル・オーケストラなどのオーケストラを指揮。2006年4月には、岩城宏之氏の代役として、オーケストラ・アンサンブル金沢定期公演(ファンタジー・シリーズ)ほかの演奏会を指揮した。また、メキシコシティ、上海、ホノルルなどの諸都市においても指揮をしている。特に2004年10月にバンコクにおいて、HIVポジティブの子どもたちに必要な薬を提供するため王女臨席のもと行なわれたチャリティ・オペラ・ガラ・コンサートは、好評につき、演奏会の模様をおさめたDVDがバンコク市内で市販されたほか、同様の公演が翌年6月に再度行われた。

 現在、聖徳大学人文学部非常勤講師、東京音楽大学指揮科非常勤助手。

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